派遣契約を途中で終わらせるとき
派遣契約を途中で終わらせるとき切る側にも義務があります。契約書のその欄を先に読んでください
派遣先の都合で途中で終わらせるときは、切る側にも義務があります。「契約を切って終わり」にはなりません。
やることは3つ。相当の猶予期間をもって申し入れる/新しい就業機会の確保に協力する/それができないときは休業手当などの費用を負担する。
この取り決めは、あらかじめ労働者派遣契約に書いておくことになっています(26条1項)。空欄のまま始まっている契約が、実際にあります。
理由は単純です。派遣契約を切っても、その人の雇用は続いているからです。
契約を切っても、雇用は続きます
切る側がやること
- 相当の猶予期間をもって、派遣元に申し入れる
「来週から要りません」ではありません。派遣元が次の就業先を探す時間が要ります。契約書に猶予期間を書いておくのが確実です。
- 新しい就業機会の確保に協力する
派遣元が別の派遣先を探すのが基本ですが、派遣先も、関連会社での就業をあっせんするなどの努力が求められます。
- それができないときは、費用を負担する
休業手当などに相当する額です。誰がどこまで負担するかは、契約に書いてあるとおりになります。
派遣先の都合で終わらせるときが対象です。派遣スタッフ本人の国籍・信条・性別・社会的身分、正当な組合活動などを理由にした解除はできません(27条)。理由の書き方も、契約の中で問われます。
契約書に書いておく3つ
この取り決めは、あらかじめ労働者派遣契約に定めておくことになっています。終わるときに決めるものではありません。
- 解除を申し入れるときの猶予期間(何日前までに伝えるか)
- 新しい就業機会を確保する方法(誰が、どこまでやるか)
- それができないときに、休業手当などの費用を誰が負担するか
- 終わらせたい時期に、話が止まる
- 費用の負担で意見が割れる
- 派遣元が「うちは払えません」と言う
- その間、働いている人は宙に浮く
- いつまでに伝えればいいかが決まっている
- 負担の範囲が先に決まっている
- 派遣元がすぐ次の就業先を探し始められる
- 働いている人に、早く見通しを伝えられる
実務ではこの欄が空欄のまま契約が始まっていることがあります。終わるときに必ず揉めるのは、ここが決まっていない場合です。始まるときには誰も気にしません。
働いている人には、何が起きるか
派遣契約が終わっても、派遣元との雇用契約が続いていれば、その人は雇われている状態です。
派遣元は、まず新しい就業先を探します。それができないときは、休業させて雇用を維持します。このとき、平均賃金の6割以上の休業手当が支払われます(労働基準法26条)。
この費用を誰が負担するかが、契約書に書いてある項目です。つまり、切る側の負担として跳ね返ってきます。
なぜ、切る側に義務があるのか
派遣は、雇う会社と指示を出す会社が分かれている働き方です。指示を出す側が「もう要らない」と決めると、雇われている人の仕事が無くなります。
ところが、雇用の責任を負っているのは派遣元です。もし切る側に何の負担も無ければ、都合のいいときだけ人を使い、要らなくなったら他社に負担を押しつける形になります。
それを防ぐために、切る側にも義務を置きました。猶予期間・就業機会の確保・費用の負担。3つとも、働いている人の生活が急に止まらないようにするためのものです。
よくある勘違い
- 契約を切れば、その人との関係は終わる
- 期間の途中でも、いつでも終わらせられる
- 費用の負担は派遣会社が決めること
- 次の仕事を探すのは、全部派遣会社の役目
- 終わらせる理由は、伝えなくてよい
- 雇用は続きます。中途解除には切る側の負担が伴います
- 相当の猶予期間をもって申し入れることが求められます
- あらかじめ契約に定めておく項目です(26条1項)
- 派遣先も、関連会社での就業のあっせんなどに協力します
- 派遣元から求められれば、理由を明らかにする必要があります
派遣を受け入れる企業は、ここだけ覚えてください
終わらせたいと思った日ではなく、契約書に書いてある猶予期間から逆算して動いてください。書いていなければ、まずそこを派遣元と決めます。
そして、予算や体制が変わりそうな段階で、早めに派遣元へ伝えてください。決まってから伝えるより、選べる道が増えます。派遣元が先に動けるからです。
派遣で働く人にも、関係があります
「仕事が無くなった」と言われたとき、最初に確かめるのは「雇用契約はいつまでですか」です。
雇用契約が残っているなら、その期間は雇われている状態です。次の就業先を探してもらえるか、休業手当が出るかを、派遣元の担当者に聞いてください。
まとめ
- 派遣契約を切っても雇用は続く。だから切る側にも負担が発生する
- やることは3つ。猶予期間をもって申し入れる/就業機会の確保に協力する/費用を負担する
- この取り決めはあらかじめ契約書に書いておく。空欄だと終わるときに揉める
いまの労働者派遣契約書を開いて、中途解除のときの取り決めが書かれているかを見る。
「派遣労働者の新たな就業機会の確保」「休業手当等の費用負担」という言葉があるかを探してください。空欄なら、いま埋めておくのがいちばん安いタイミングです。終わらせる話が出てから決めると、必ず揉めます。
働いている人の側から見ると、この話は休業手当の話になります。いくら出るのかまで説明しています。
仕事が休みになったとき、給料はどうなるのか※ 2026年8月時点の制度にもとづいています。根拠:労働者派遣法26条1項(契約の記載事項。中途解除の際の措置)・27条(解除の制限)・29条の2(派遣先による中途解除に伴う措置)、労働基準法26条(休業手当)、労働契約法17条。厚生労働省「派遣先の皆さまへ」(LL271029 派需08)、「派遣元事業主の皆さまへ」(同 派需07)、「派遣先が講ずべき措置に関する指針」、e-Gov法令検索で確認しています。費用負担の範囲は個別の契約によって異なります。
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