派遣契約を途中で終わらせるとき

派遣契約を途中で終わらせるとき切る側にも義務があります。契約書のその欄を先に読んでください

読了の目安 5分2026年8月時点の制度にもとづきます

企業の派遣活用中途解除休業手当派遣先派遣元

ひとことで言うと

派遣先の都合で途中で終わらせるときは、切る側にも義務があります。「契約を切って終わり」にはなりません。

やることは3つ。相当の猶予期間をもって申し入れる/新しい就業機会の確保に協力する/それができないときは休業手当などの費用を負担する。

この取り決めは、あらかじめ労働者派遣契約に書いておくことになっています(26条1項)。空欄のまま始まっている契約が、実際にあります。

理由は単純です。派遣契約を切っても、その人の雇用は続いているからです。

契約を切っても、雇用は続きます

終わるもの、残るもの 終わるもの:労働者派遣契約 派遣元 ↔ 派遣先 の、会社どうしの契約 派遣先の都合で、途中で終わらせられます 残るもの:雇用契約 派遣元 ↔ 派遣スタッフ の契約 こちらは終わりません。給料の支払いも続きます だから、切った側にも負担が発生します。派遣元は雇用を維持する義務を負ったままです 「派遣先が切ったから、うちは払えません」は、派遣元の側でも通りません
2本の契約が別物であることが、この話のすべてです。

切る側がやること

この順で進めます
  1. 相当の猶予期間をもって、派遣元に申し入れる

    「来週から要りません」ではありません。派遣元が次の就業先を探す時間が要ります。契約書に猶予期間を書いておくのが確実です。

  2. 新しい就業機会の確保に協力する

    派遣元が別の派遣先を探すのが基本ですが、派遣先も、関連会社での就業をあっせんするなどの努力が求められます。

  3. それができないときは、費用を負担する

    休業手当などに相当する額です。誰がどこまで負担するかは、契約に書いてあるとおりになります。

「派遣元の責に帰すべき事由」でない限り、この流れになります

派遣先の都合で終わらせるときが対象です。派遣スタッフ本人の国籍・信条・性別・社会的身分、正当な組合活動などを理由にした解除はできません(27条)。理由の書き方も、契約の中で問われます。

契約書に書いておく3つ

この取り決めは、あらかじめ労働者派遣契約に定めておくことになっています。終わるときに決めるものではありません。

契約書に書く項目
  • 解除を申し入れるときの猶予期間(何日前までに伝えるか)
  • 新しい就業機会を確保する方法(誰が、どこまでやるか)
  • それができないときに、休業手当などの費用を誰が負担するか
空欄のまま始まると
  • 終わらせたい時期に、話が止まる
  • 費用の負担で意見が割れる
  • 派遣元が「うちは払えません」と言う
  • その間、働いている人は宙に浮く
書いてあると
  • いつまでに伝えればいいかが決まっている
  • 負担の範囲が先に決まっている
  • 派遣元がすぐ次の就業先を探し始められる
  • 働いている人に、早く見通しを伝えられる

実務ではこの欄が空欄のまま契約が始まっていることがあります。終わるときに必ず揉めるのは、ここが決まっていない場合です。始まるときには誰も気にしません。

働いている人には、何が起きるか

派遣契約が終わっても、派遣元との雇用契約が続いていれば、その人は雇われている状態です。

派遣元は、まず新しい就業先を探します。それができないときは、休業させて雇用を維持します。このとき、平均賃金の6割以上の休業手当が支払われます(労働基準法26条)。

この費用を誰が負担するかが、契約書に書いてある項目です。つまり、切る側の負担として跳ね返ってきます。

なぜ、切る側に義務があるのか

派遣は、雇う会社と指示を出す会社が分かれている働き方です。指示を出す側が「もう要らない」と決めると、雇われている人の仕事が無くなります。

ところが、雇用の責任を負っているのは派遣元です。もし切る側に何の負担も無ければ、都合のいいときだけ人を使い、要らなくなったら他社に負担を押しつける形になります。

それを防ぐために、切る側にも義務を置きました。猶予期間・就業機会の確保・費用の負担。3つとも、働いている人の生活が急に止まらないようにするためのものです。

よくある勘違い

こう思われがちです
  • 契約を切れば、その人との関係は終わる
  • 期間の途中でも、いつでも終わらせられる
  • 費用の負担は派遣会社が決めること
  • 次の仕事を探すのは、全部派遣会社の役目
  • 終わらせる理由は、伝えなくてよい
実際はこうです
  • 雇用は続きます。中途解除には切る側の負担が伴います
  • 相当の猶予期間をもって申し入れることが求められます
  • あらかじめ契約に定めておく項目です(26条1項)
  • 派遣先も、関連会社での就業のあっせんなどに協力します
  • 派遣元から求められれば、理由を明らかにする必要があります

派遣を受け入れる企業は、ここだけ覚えてください

派遣先の担当者へ

終わらせたいと思った日ではなく、契約書に書いてある猶予期間から逆算して動いてください。書いていなければ、まずそこを派遣元と決めます。

そして、予算や体制が変わりそうな段階で、早めに派遣元へ伝えてください。決まってから伝えるより、選べる道が増えます。派遣元が先に動けるからです。

派遣で働く人にも、関係があります

派遣で働く方へ

「仕事が無くなった」と言われたとき、最初に確かめるのは「雇用契約はいつまでですか」です。

雇用契約が残っているなら、その期間は雇われている状態です。次の就業先を探してもらえるか、休業手当が出るかを、派遣元の担当者に聞いてください。

まとめ

この記事で覚えてほしいこと
  • 派遣契約を切っても雇用は続く。だから切る側にも負担が発生する
  • やることは3つ。猶予期間をもって申し入れる/就業機会の確保に協力する/費用を負担する
  • この取り決めはあらかじめ契約書に書いておく。空欄だと終わるときに揉める
TODAY'S ACTION / 今日からできる、たった1つのこと

いまの労働者派遣契約書を開いて、中途解除のときの取り決めが書かれているかを見る。

「派遣労働者の新たな就業機会の確保」「休業手当等の費用負担」という言葉があるかを探してください。空欄なら、いま埋めておくのがいちばん安いタイミングです。終わらせる話が出てから決めると、必ず揉めます。

働いている人の側から見ると、この話は休業手当の話になります。いくら出るのかまで説明しています。

仕事が休みになったとき、給料はどうなるのか

※ 2026年8月時点の制度にもとづいています。根拠:労働者派遣法26条1項(契約の記載事項。中途解除の際の措置)・27条(解除の制限)・29条の2(派遣先による中途解除に伴う措置)、労働基準法26条(休業手当)、労働契約法17条。厚生労働省「派遣先の皆さまへ」(LL271029 派需08)、「派遣元事業主の皆さまへ」(同 派需07)、「派遣先が講ずべき措置に関する指針」、e-Gov法令検索で確認しています。費用負担の範囲は個別の契約によって異なります。

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