労働者派遣法とは

労働者派遣法とは禁止を、条件つきで開けるための法律です

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派遣の基本派遣法派遣元派遣先

ひとことで言うと

労働者派遣法は、もともと禁止だった働かせ方を、条件つきで認めるための法律です。

だから決まりが多くなります。禁止を開けるときは、そのぶん条件を足す必要があるからです。

中身は3つに分かれます。入口の許可/途中のルール/出口の期限。この3つで見ると、ばらばらに見える条文がつながります。

正式な題名は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」。「派遣労働者の保護」が題名に入ったのは2012年です。

もとは、禁止でした

1947年(昭和22年)の職業安定法44条は、人を集めて別の会社に送り、その会社の指示で働かせる商売を原則禁止にしました。労働者供給事業といいます。

禁止した理由は2つです。働く人の意思を無視して働かせることと、本来その人に渡るはずの賃金を、間に入った側が取ってしまうこと。

1985年(昭和60年)にできた労働者派遣法は、この禁止に例外を1つ開けました。認められたのは、自分が雇っている人を送り出す場合だけです。

だから派遣元は、必ず雇用主です

「雇ってもいない人を送る」形は、いまも禁止されたままです。派遣元が給料を払い、社会保険の手続きをし、有給を与えるのは、この一点から来ています。派遣会社が仕事を紹介するだけの会社ではないのは、法律の作りがそうなっているからです。

中身は3つに分かれます

条文を3つに分けて見る 入口 誰が、何を派遣できるか 国の許可が要る(5条)/頼めない業務がある(4条1項)/許可のない会社から受け入れることも禁止 やっていい会社と、やっていい仕事を先に絞る部分です 途中 働いている間、誰が何を守るか 契約に書く項目(26条)/義務の割り振り(44条以下)/待遇の決め方(30条の3・30条の4)/説明義務(31条の2) 雇う会社と指示を出す会社が別なので、義務を振り分ける部分です 出口 いつまでで、そのあとどうするか 事業所単位の3年(40条の2)/個人単位の3年(40条の3)/雇用安定措置(30条)/みなし制度(40条の6) 「ずっと必要な仕事なら、ちゃんと雇うべきだ」という考え方の部分です
どの条文も、この3つのどれかに入ります。ばらばらに覚える必要はありません。

入口:誰が、何を派遣できるか

入口で絞っていること
  • 会社労働者派遣事業には、国の許可が要る(5条)

    資産の要件や、派遣元責任者の講習を受けた人を置くことが条件です。許可のない会社から受け入れることも禁止されています。

  • 仕事頼めない業務がある(4条1項)

    港湾運送・建設・警備・医療関係の4つ。すでに別の法律で人の出し方が決まっている分野です。

  • 期間30日以内の雇用契約での派遣は、原則禁止(35条の4)

    日雇い派遣といいます。雇用主としての責任を果たす時間が無いためです。

途中:誰が何を守るか

派遣では、雇う会社と指示を出す会社が別です。労働基準法などの労働法は「雇う人=指示を出す人」を前提に作られているので、そのままでは誰が守るのか決まりません。

そこで労働者派遣法44条以下で、義務を割り振り直しました。分け方の基準は「実際にその義務を果たせるのはどちらか」です。

この法律が無いと、こうなります
  • 時間の管理を、現場にいない会社がすることになる
  • 給料の話を、払っていない会社が決めることになる
  • 苦情を、どちらに言えばいいか決まらない
  • 契約書に何を書くかも決まらない
だから、こう決めています
  • 労働時間・休憩・休日の管理は派遣先(44条以下)
  • 賃金・有給・社会保険は派遣元
  • 苦情の処理は両方(40条1項ほか)
  • 契約に書く項目は法律で決まっている(26条)

出口:いつまでで、そのあとどうするか

1999年(平成11年)に、国は派遣を「臨時的・一時的な労働力の需給調整に関する対策」と位置づけました。つまり、ずっと続く形としては考えられていません。

だから期限が置かれています。事業所ごとに3年(40条の2)と、同じ人が同じ課で3年(40条の3)。2つは別に進みます。

そして期限の先には、道が用意されています。雇用安定措置(30条)です。3年働く見込みがあり、本人が働き続けたいと希望していれば、派遣元が次を用意する義務を負います。

守られなかったときの仕組みが労働契約申込みみなし制度(40条の6)です。罰金ではなく、派遣先がその人に直接雇用を申し込んだものとみなされます。

改正のたびに、何が足されてきたか

禁止から、いまの形まで
  1. 1947年(昭和22年)人を送って他社の指示で働かせる商売を、原則禁止にした

    職業安定法44条。強制労働と中間搾取を防ぐためでした。

  2. 1985年(昭和60年)労働者派遣法ができ、例外が認められた

    認められたのは自分が雇っている人を送り出す場合だけ。頼める業務も限られていました。

  3. 1999年(平成11年)頼める仕事が、原則として自由になった

    禁止する業務を並べる形に変わりました。このとき派遣の位置づけが「臨時的・一時的」と示されています。

  4. 2012年(平成24年)題名に「派遣労働者の保護」が入り、日雇い派遣の禁止とみなし制度が作られた

    それまでの題名は「就業条件の整備等」でした。守る対象が、事業の適正さから働く人へ広がった改正です。

  5. 2015年(平成27年)期限が3年で整理され、許可制に一本化された

    事業所単位と個人単位の2つの3年になりました。雇用安定措置もここで入っています。

  6. 2020年(令和2年)同一労働同一賃金が施行された

    待遇の決め方が2つの方式に整理され、説明する義務も大きく強められました。

並べると、方向が見えます。事業を正しく運営させることから、働く人を守ることへ。題名が変わったのが、その分かれ目です。

よくある勘違い

こう思われがちです
  • 派遣法は、派遣会社のための法律だ
  • 決まりが多いのは、規制が好きだから
  • 条文がばらばらで、覚えようがない
  • 昔から同じ内容のまま続いている
  • 守らなければ罰金を払えば済む
実際はこうです
  • 題名に「派遣労働者の保護」が入っています(2012年)
  • もとが禁止なので、開けるぶんだけ条件が要ります
  • 入口・途中・出口の3つに分けると、つながって見えます
  • 改正のたびに、働く人を守る側へ動いてきました
  • 雇ったことにされる仕組み(みなし制度)があります

派遣を受け入れる企業は、ここだけ覚えてください

派遣先の担当者へ

覚えるのは条文の番号ではありません。「もとが禁止で、条件つきで開いている」という1行です。

これが分かっていると、なぜ契約書に細かく書くのか、なぜ抵触日を通知するのか、なぜ人を選べないのかが、全部つながります。個別に暗記する必要がなくなります。

派遣で働く人にも、関係があります

派遣で働く方へ

この法律の題名には「派遣労働者の保護」が入っています。決まりの多くは、働く人を守るために置かれたものです。

だから、確かめたり聞いたりすることは想定されています。説明を求めたことを理由に不利な扱いをすることは、禁止されています。

まとめ

この記事で覚えてほしいこと
  • もとは禁止。条件つきで開けるための法律なので、決まりが多い
  • 中身は入口の許可・途中のルール・出口の期限の3つに分かれる
  • 2012年に題名へ「派遣労働者の保護」が入った。守る対象が広がった
TODAY'S ACTION / 今日からできる、たった1つのこと

いま気になっている派遣の決まりを1つ選んで、入口・途中・出口のどれにあたるかを言ってみる。

「抵触日」なら出口、「契約書に書く項目」なら途中、「許可番号」なら入口です。どこに属するかが分かると、なぜその決まりがあるのかも見えてきます。条文の番号を覚える必要はありません。

いちばん最初から知りたいときは、こちらです。3者の関係を図で説明しています。

派遣とはどういう働き方か

※ 2026年8月時点の制度にもとづいています。根拠:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(4条1項・5条・26条・30条・30条の3・30条の4・31条の2・35条の4・40条の2・40条の3・40条の6・44条以下)、職業安定法44条、平成24年法律第27号、平成27年法律第73号、平成30年法律第71号。厚生労働省「労働者派遣制度の概要及び改正経緯について」、「労働者派遣事業関係業務取扱要領」、e-Gov法令検索で確認しています。法律の全体像を3つに分ける整理は、私たちが研修で使っている見方です。

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