抵触日とは何か、いつ来るのか
抵触日とは何か、いつ来るのか日付を決めるのは派遣先。手続きをすれば、3年ごとに続けられます
抵触日とは、その事業所で派遣を受け入れられなくなる、最初の日です。3年の満了日の翌日にあたります。
決めるのは派遣先。書面で派遣元に知らせます(抵触日通知書)。事業所にひとつで、派遣元が替わっても変わりません。
抵触日の1か月前までに意見聴取をすれば、また3年。繰り返せる回数に制限はありません。
先に、言葉を3つだけ
- 派遣先
- 派遣スタッフを受け入れる会社。この記事を読んでいる方の会社です。
- 派遣元(派遣会社)
- その人を雇って、給料を払っている会社。
- 事業所
- 支店や営業所くらいのまとまり。会社ぜんぶではありません。
日付を決めるのは派遣先です
派遣元が持ってくるのは、日付の欄が空いた紙です。その事業所がいつから派遣を受け入れてきたかを、派遣元は知りません。
法律上抵触日を決めて派遣元に通知するのは、派遣先の義務です(26条4項)。派遣元は、この通知がないと契約を結べません(26条5項)。
実務では私たちが伺うと、「あの日付は派遣会社が管理してくれている」と思っているお客様がほとんどです。実際は逆で、決めるのも管理するのも派遣先です。派遣元が毎回聞いてくるのは、聞かないと契約できないからです。
3年を数え始めるのは、最初に受け入れた日です
ひとつの事業所で受け入れられる期間は、原則3年です。この決まりを期間制限と呼びます。
3年を数え始めるのは、期間制限の対象となる派遣を最初に受け入れた日です。派遣元が替わっても、人が替わっても、数え直しにはなりません。
例です。ある事業所が2026年4月1日に、対象の派遣を最初に受け入れました。3年が終わる満了日は2029年3月31日。抵触日は、その翌日の2029年4月1日です。
あとから別の派遣元と契約しても、抵触日は変わりません
抵触日は、その事業所にひとつです。派遣元ごとには持ちません。
さきほどの例で、2年後に別の派遣元から1人受け入れたとします。それでも抵触日は2029年4月1日のままです。契約した日から3年ではありません。
あとから入るほど、使える期間は短くなります。だから派遣先は、新しく契約するたびに同じ日付を通知します。
延ばすときは、派遣先の人事が手続きをします
3年を超えて受け入れたいときは、意見聴取という手続きをします。派遣先が雇っている人の代表から、意見を聴きます。
締切は、抵触日の1か月前です。満了日の1か月前ではありません。さきほどの例なら2029年3月1日です。
手続きをするのは派遣先の人事です。受け入れ部署がやることは、ひとつだけ。締切より前に「来年も延ばしてほしい」と人事へ伝えることです。誰も伝えなければ、手続きは始まりません。
手続きをしなかったときに止まるのは、受け入れ部署だけではありません。この期限は、事業所にひとつだからです。
もうひとつの3年があります
ここまでは事業所の3年です。これとは別に、同じ人が同じ課で働ける期間にも3年の上限があります。個人単位の期間制限といいます。
2つは別に進みます。事業所の期限を延ばしても、その人の3年は延びません。逆に、その人が入れ替わっても事業所の期限は数え直しになりません。
「事業所の3年は手続きで延ばせた。なのに、あの人だけ続けられないと言われた」。これは矛盾ではありません。個人単位の3年のほうは、意見聴取では延ばせないからです。その人に続けてもらう道は別にあります。
なぜ、3年で区切るのか
もともと、人を集めて別の会社に送り、その会社の指示で働かせる商売は禁じられていました。強制労働と、間に入って賃金の一部を取ることを防ぐためです。
- 1947年(昭和22年)人を送って他社の指示で働かせる商売を、原則禁止にした
職業安定法44条。
- 1985年(昭和60年)労働者派遣法ができ、例外が認められた
認められたのは、自分が雇っている人を送り出す場合だけでした。
- 1999年(平成11年)対象の仕事が、原則として自由になった
このとき国は派遣の位置づけを「臨時的・一時的な労働力の需給調整に関する対策」と示しています。つまり、一時的な手立てです。
- 2003年(平成15年)期限が1年から3年になった
それまでの期限は原則1年でした。
- 2015年(平成27年)いまの「事業所ごとに3年」という数え方になった
あわせて、同じ人が同じ課で3年という個人単位の制限も入りました。
期限が置かれた理由は、派遣先の正社員の仕事が派遣に置き換わってしまわないようにするためです。法律では、この考え方を常用代替の防止と呼びます。
よくある勘違い
- 抵触日は派遣会社が決めて、管理してくれている
- 抵触日=3年の満了日のこと
- 派遣会社を変えれば、3年は数え直しになる
- 3年たったら、その事業所ではもう派遣を使えない
- 締切は満了日の1か月前
- 決めて通知するのは派遣先の義務です。派遣元は通知がないと契約できません
- 抵触日は満了日の翌日。1日ずれます
- 抵触日は事業所にひとつ。派遣元が替わっても変わりません
- 意見聴取をすれば、また3年。回数に制限はありません
- 締切は抵触日の1か月前です
派遣を受け入れる企業は、ここだけ覚えてください
覚えるのは日付ではありません。抵触日通知書の控えが、いま社内のどこにあるかです。
その紙に書いてある日から1か月引いた日が、延長手続きの締切です。人事へ伝えるのは、それより前。受け入れ部署がすることは、この一言だけです。
派遣で働く人にも、関係があります
事業所の抵触日は、そこで働く人みんなに共通の期限です。自分の契約とは別に、職場そのものに期限があると考えてください。
自分の3年(個人単位)とは数え方が違うので、心配なときは派遣元の担当者に「事業所の抵触日はいつですか」と聞けます。派遣先に聞く必要はありません。
まとめ
- 抵触日とは、その事業所で派遣を受け入れられなくなる最初の日。満了日の翌日
- 決めて通知するのは派遣先。事業所にひとつで、派遣元が替わっても変わらない
- 抵触日の1か月前までに意見聴取をすれば、また3年。回数に制限はない
前に出した抵触日通知書の控えを探して、書いてある日付から1か月引く。
その日が、延長手続きの締切です。カレンダーに入れてください。探して見つからなければ、無いこと自体が答えです。派遣元の側に控えがあるので、次に来たときに持ってきてもらってください。
期限が近づいたら、続けてもらうか、終えるかを決めることになります。選べる道は4つあり、それぞれ決める人が違います。動き始める時期まで書いています。
抵触日が来たときの選択肢は4つ※ 2026年8月時点の制度にもとづいています。根拠:労働者派遣法26条4項・5項、40条の2、40条の3、同法施行規則24条の2、平成27年法律第73号 附則9条1項、職業安定法44条。厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」「平成27年労働者派遣法改正法の概要」(PL271029)「労働者派遣制度の概要及び改正経緯について」、e-Gov法令検索、国会会議録検索システムで確認しています。
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