ハラスメントを受けたとき、誰に言うのか

ハラスメントを受けたとき、誰に言うのか派遣先と派遣元、両方に窓口があります

読了の目安 5分2026年8月時点の制度にもとづきます

働く人のルール派遣先派遣元派遣先責任者

ひとことで言うと

防止する義務は、派遣先と派遣元の両方にあります。派遣先は、派遣スタッフを自社の労働者と同じように扱わなければなりません。

だから「うちの社員ではないので」は通りません。相談窓口も、両方に置くことになっています。

言う相手はどちらでもかまいません。派遣元に言えば派遣先に伝わりますし、派遣先の窓口に直接言うこともできます。

相談したことを理由に、不利な扱いをすることは禁止されています。契約を切る、更新しない、といった扱いも含みます。

義務は、両方にあります

誰が、何をする義務を負っているか 派遣先(指示を出す会社) ・相談窓口を置き、周知する ・起きたときに、事実を確かめて対応する ・研修などで、起こさない体制をつくる 派遣スタッフも、自社の労働者と同じ扱いです 派遣元(雇っている会社) ・相談窓口を置き、周知する ・相談を受けて、派遣先に伝えて解決させる ・必要なら、就業先を変える 雇用主として、働き続けられる形をつくります 対象はパワハラ・セクハラ・妊娠出産や育児介護休業に関するハラスメントのすべて 相談したことを理由に、不利な扱いをすることは禁止されています
「雇っていないから関係ない」という線は、ハラスメントについては引かれていません。

法律上派遣先は、派遣スタッフについても自社が雇用する労働者とみなして措置義務を負います(労働施策総合推進法・男女雇用機会均等法・育児介護休業法)。派遣先の社員と、扱いは同じです。

どちらに言えばいいのか

迷いやすいところ
  • 職場の人に言うと、居づらくなりそう
  • 派遣会社に言っても、現場は変わらなそう
  • 自分の受け止め方の問題かもしれない
  • 契約が終わるまで我慢すればいい
実際にできること
  • 派遣元に言えば、派遣元から派遣先に伝わります
  • 派遣先にも対応する義務があります。動かないと違反です
  • 判断するのは会社です。まず事実を伝えれば足ります
  • 相談を理由にした不利な扱いは禁止されています

どちらに言ってもかまいません。言いやすいほうで大丈夫です。多くの方は、職場から離れている派遣元のほうが言いやすいと感じます。

伝える前に、記録を残します

「言った・言わない」になると、話が進みません。その日のうちに、事実だけを書いておいてください。

1件につき、この4つを書く
  • 日付と時間(何時ごろか、まで)
  • 場所(どこで。まわりに誰がいたか)
  • 言われたこと・されたこと(そのままの言葉で。要約しない)
  • 自分がどうしたか(黙った、その場で断った、など)
気持ちではなく、事実を書いてください

「つらかった」は大事ですが、会社が動くために必要なのは何が起きたかです。メモ帳でもスマートフォンでもかまいません。あとからまとめて書くより、その日のうちに一言だけ残すほうが正確です。メールやチャットが残っているなら、消さずに保存してください。

相談したあと、何が起きるか

会社が取ることになっている手順
  1. 事実関係を確かめる

    相談した人、行為をしたとされる人、周りの人から話を聞きます。派遣先と派遣元が連携して行います。

  2. 被害を受けた人への配慮をする

    席を離す、指示系統を変える、就業先を変えるなど。働き続けられる形を作ることが目的です。

  3. 行為をした人への措置をとる

    注意、指導、配置転換など。派遣先が自社の社員に対して行います。

  4. 再び起きないための対応をとる

    研修や周知など。個別の対応で終わらせない、というのが制度の考え方です。

どの段階でも、相談した人のプライバシーは守られることになっています。誰が相談したかを本人の同意なく広めることはできません。

会社が動かないときの窓口

派遣元も派遣先も動かないときは、行政に相談できます。無料です。

相談できるところ
  • 総合的に総合労働相談コーナー(各都道府県労働局・労働基準監督署内)

    どこに相談すればいいか分からないときの入口です。内容に応じた窓口につないでもらえます。

  • 派遣のこと都道府県労働局 需給調整事業部(課)

    派遣に関する行政の窓口です。匿名でも相談できます。

  • 解決の援助都道府県労働局長による助言・指導、紛争調整委員会のあっせん

    会社との間で解決がつかないときに、行政が間に入る仕組みです。裁判よりも早く、費用もかかりません。

なぜ、派遣先にも義務があるのか

ハラスメントが起きるのは、実際に働いている職場です。派遣元の事務所では起きません。

ところが、雇っているのは派遣元です。もし派遣先に義務が無ければ、起きている場所には権限がなく、権限がある会社にはその場が見えないという状態になります。それでは止められません。

だから、起きる場所(派遣先)と、雇っている会社(派遣元)の両方に義務が置かれました。安全衛生や苦情処理が両方の義務になっているのも、同じ考え方です。

よくある勘違い

こう思われがちです
  • 派遣スタッフは派遣先の社員ではないので、対象外
  • 派遣先に相談窓口は無い
  • 相談すると、契約を切られる
  • 証拠が無いと、相談しても意味がない
  • 契約が終わるまで我慢するしかない
実際はこうです
  • 派遣先は、自社が雇用する労働者とみなして措置義務を負います
  • 相談窓口を置いて周知することが義務です
  • 相談を理由にした不利益な取扱いは禁止されています
  • まず事実を伝えれば足ります。会社が確かめます
  • 就業先を変えるという対応も、派遣元の選択肢にあります

派遣で働く人は、ここだけ覚えてください

派遣で働く方へ

言う相手は派遣元でも派遣先でも、言いやすいほうで大丈夫です。両方に義務があります。

そして、その日のうちに事実だけを一言残してください。日付・場所・言われたこと。この3つがあれば、あとで会社が動けます。

派遣を受け入れる企業にも、関係があります

派遣先の担当者へ

派遣スタッフは、ハラスメントに関しては自社が雇用する労働者とみなされます。「うちの社員ではないので」という線は引けません。

確かめてほしいのは1つだけです。自社の相談窓口が、いま来ている派遣スタッフに伝わっているか。掲示や配布物が社員向けだけになっていると、伝わっていません。

まとめ

この記事で覚えてほしいこと
  • 防止する義務は派遣先と派遣元の両方にある。派遣先は自社の労働者と同じ扱い
  • 言う相手はどちらでもよい。相談を理由にした不利な扱いは禁止されている
  • その日のうちに日付・場所・言われたことを残す。気持ちではなく事実を書く
TODAY'S ACTION / 今日からできる、たった1つのこと

いまの職場で、ハラスメントの相談窓口がどこにあるかを1分だけ探す。

掲示板、社内のイントラ、配られた冊子のどこかにあります。見つからなければ、それ自体が周知できていない状態です。派遣元の担当者に「派遣先の相談窓口はどこですか」と聞いてください。困ってから探すと、その日のうちに見つかりません。

ハラスメント以外の困りごとは、内容によって相談先が変わります。順番もあります。

待遇に納得できないときの相談先

※ 2026年8月時点の制度にもとづいています。根拠:労働施策総合推進法30条の2(パワーハラスメント防止措置)・30条の2第2項(不利益取扱いの禁止)、男女雇用機会均等法11条・11条の3、育児・介護休業法25条、労働者派遣法47条の2〜47条の4(派遣先を事業主とみなす特例)・40条1項(苦情の処理)。厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」、「派遣先の皆さまへ」(LL271029 派需08)、e-Gov法令検索で確認しています。

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