派遣の3年ルールで自分はどうなるのか

派遣の3年ルールで自分はどうなるのか3年で辞めるルールではありません。2種類あります

読了の目安 5分2026年8月時点の制度にもとづきます

働く人のルール3年ルール組織単位直接雇用無期雇用雇用安定措置

ひとことで言うと

3年ルールは2つあります。

会社側の3年=その事業所で派遣を受け入れられる期間。派遣先が手続きをすれば延ばせます。

働く人側の3年=同じ課で働ける期間。自分に来るのはこちらで、その手続きでは延びません。

3年が来ても終わりではありません。選べる道は4つ。そして「このあとも働きたい」と派遣会社に伝えていると、次を用意する義務が生まれます。

3年は2種類あります

同じ「3年」でも、数えているものが違います 会社側の3年(事業所単位) 数えるもの:その事業所が派遣を 受け入れ始めた日から 誰の期限か:職場そのもの 延ばせます 派遣先が手続きをすれば、また3年。 繰り返せる回数に制限はありません 働く人側の3年(個人単位) 数えるもの:同じ人が、同じ課で 働き始めた日から 誰の期限か:あなた この手続きでは延ばせません 続けるなら、働き方を変えるか 場所を変えることになります
「事業所の3年は延びたのに、自分だけ続けられない」は矛盾ではありません。別の期限だからです。

ニュースや職場で「3年ルール」と言われるとき、どちらの話をしているかが混ざりがちです。自分に来る期限は、右の「同じ課で3年」のほうです。

組織単位(課)が変われば数え直しになります。ただし部署名を変えただけ、席を移しただけでは認められません。実際の仕事の中身が変わることが条件です。

3年を数えない人もいます

派遣元と期間の定めのない雇用契約を結んでいる人(無期雇用派遣)は、この期限の対象外です。60歳以上の人も対象外。産休・育休・介護休業をとっている社員の代わりに入っている場合や、終わる時期が決まっている事業の仕事も対象外です。

3年が近づいたら、選べる道は4つあります

「3年で終わり」ではありません
  • 派遣先が決める直接雇用に切り替える

    派遣先の社員・契約社員・パートとして雇われます。本人の合意も要ります。

  • 派遣元が決める派遣元で無期雇用にしてもらう

    期間の定めのない契約になると、この期限の対象から外れます。同じ課で続けられます。

  • 派遣先が決める別の課へ移る

    組織単位が変われば数え直しです。仕事の中身が実際に変わることが条件です。

  • 派遣元と一緒に別の職場へ移る

    いまの職場は終わりますが、雇用は続きます。

「続けたい」と伝えると、派遣会社に義務が生まれます

法律上同じ組織単位で3年働く見込みがあり、本人が働き続けたいと希望している場合、派遣元には「雇用安定措置」の義務があります(30条)。中身は4つです。

  • 派遣先に、直接雇用するよう申し込む
  • 新しい派遣先を提供する(本人の能力・経験に照らして合理的なもの)
  • 派遣ではない働き方で、期間の定めなく雇う
  • 有給の教育訓練や、紹介予定派遣など

しかも直接雇用を申し込んで終わりにはできません。直接雇用に至らなかったときは、残りの3つのいずれかを追加で講じる義務があります。

実務ではこの義務は、本人が希望を伝えていることが出発点です。私たちも面談で確かめますが、聞かれる前に言ってしまってかまいません。「このあとも働きたいです」の一言で足ります。

なぜ、3年で区切るのか

派遣は、もともと原則禁止だった働かせ方の例外として認められました。1999年に国は派遣を「臨時的・一時的な労働力の需給調整に関する対策」と位置づけています。

期限が置かれたのは、派遣先の正社員の仕事が、そのまま派遣に置き換わってしまわないようにするためです。法律ではこれを常用代替の防止と呼びます。

つまり3年の期限は、働く人を追い出すための線ではなく、「ずっと必要な仕事なら、ちゃんと雇うべきだ」という考え方から引かれた線です。だから期限の先に、直接雇用や無期雇用への道が用意されています。

よくある勘違い

こう思われがちです
  • 3年たったら必ず辞めることになる
  • 派遣会社を変えれば3年はリセットされる
  • 同じ会社なら、別の部署でも3年で終わり
  • 3年たつ前に、会社から声がかかるはず
  • 3年ルールは正社員になれる制度だ
実際はこうです
  • 選べる道は4つあります。雇用そのものが終わるとは限りません
  • 数えるのは「同じ課で働いた期間」。派遣会社を変えても数え直しにはなりません
  • 組織単位が実際に変われば数え直しです
  • 希望を伝えていないと、義務のスイッチが入りません
  • 直接雇用は4つの道のうちの1つ。自動でなれる制度ではありません

派遣で働く人は、ここだけ覚えてください

派遣で働く方へ

覚えるのは日付ではありません。「このあとも働きたい」を、いつ・誰に言うかです。

言う相手は派遣元の担当者。派遣先ではありません。時期は3年になる半年前。直接雇用は社内の決裁に3〜6か月かかるので、1〜2か月前では選べる道が減ります。

まとめ

この記事で覚えてほしいこと
  • 3年ルールは2種類。自分に来るのは「同じ課で3年」のほう
  • 3年で終わりではない。直接雇用・無期雇用・別の課・別の職場の4つがある
  • 「続けたい」と伝えていると、派遣元に雇用安定措置の義務が生まれる。黙っていると始まらない
TODAY'S ACTION / 今日からできる、たった1つのこと

いまの職場で働き始めた月をカレンダーで探して、そこから2年6か月後に印をつける。

その日が、派遣元の担当者に「このあとも働きたい」と伝える日です。3年の半年前になります。まだ先でも、印をつけておけば忘れません。すでに過ぎているなら、今日が伝える日です。

「派遣元で無期雇用にしてもらう」がどういう働き方になるのかは、別の記事で説明しています。いまの登録型と何が変わるのかを比べています。

無期雇用派遣とは?登録型との違い

※ 2026年8月時点の制度にもとづいています。根拠:労働者派遣法30条(雇用安定措置)・40条の2(事業所単位)・40条の3(個人単位)・40条の5、同法施行規則25条の2。厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」「平成27年労働者派遣法改正法の概要」(PL271029)、e-Gov法令検索で確認しています。

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