二重派遣とは?偽装請負との違い

二重派遣とは?偽装請負との違い「間に会社が入ったら二重派遣」は間違いです。偽装請負との違いも説明します

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契約・法律偽装請負二重派遣派遣法労働契約申込みみなし

ひとことで言うと

二重派遣とは、派遣先が受け入れた派遣スタッフを、さらに別の会社の指示で働かせることです。

決めるのは会社の数ではありません。給料を払っている会社と、指揮命令をする会社。この2社の間に労働者派遣契約があるかどうかです。

罰は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。送り出した側だけでなく、受け入れて指揮命令をした側も対象です。

先に、言葉を2つだけ

この記事に出てくる言葉
指揮命令
仕事の順番ややり方を指示すること。「これを先にお願いします」の一言も指揮命令です。
労働者供給
雇ってもいない人を送り、送り先の指揮命令で働かせること。原則として禁止されています。

見るのは、契約がどこからどこへ張られているか

労働者派遣契約がある 労働者派遣契約がない 二重派遣ではない 労働者派遣契約 派遣元 給料を払っています 取り次ぐだけの会社 受け入れません 派遣先 指揮命令をします 派遣元と派遣先が、直接、労働者派遣契約を結んでいます これが二重派遣 労働者派遣契約が、ない 派遣元 給料を払っています 派遣先 受け入れます 三社目の会社 指揮命令をします 派遣元と労働者派遣契約を結んでいるのは派遣先だけで、三社目の会社とは結ばれていません
上下で会社の数も並び方も同じです。違うのは、上の弧が実線か破線かだけです。

労働者派遣契約を取り次ぐだけの会社が間にいても、ふつうは二重派遣にあたりません。厚生労働省の手引きにそう書かれています。

二重派遣になるのは、契約の張られ方が変わったときです。派遣先が受け入れた派遣スタッフを三社目の会社へ回し、指揮命令をするのが三社目の会社になる。ところが三社目の会社は、派遣元と契約を結んでいません。

確かめるのは2つだけです

二重派遣かどうかを、この順で確かめる ① その派遣スタッフに給料を払っている会社は、どこか ② その会社と、指揮命令をしている会社の間に、労働者派遣契約があるか ある ない 二重派遣ではありません 給料を払っている会社と、指揮命令をする会社が 直接、契約でつながっています 二重派遣です 指揮命令をしている会社は、その人を雇っている 会社と契約を結んでいません 間に会社が何社入っているかは、この2つの答えを変えません
①に答えるには、その派遣スタッフに給料を払っている会社の名前が要ります。

①は、労働者派遣契約書の相手先を見れば分かります。②は、いま実際に指示を出している部署がどの会社かを見ます。

受け入れて指揮命令をした側も、禁止されています

職業安定法44条は、労働者供給事業を禁止しています。禁止しているのは2つです。労働者供給事業をすること。そして、供給された人を自分の指揮命令の下に労働させること。

厚生労働省の資料も、二重派遣では派遣先と三社目の会社の両方が44条に違反すると解される、としています。罰は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。

「1回だけ」は理由になりません

送り出す側が問われるのは、労働者供給を「業として」行った場合です。1回だけの行為でも、また繰り返すつもりがあればあてはまります。もうけが出るかどうかも問いません。受け入れて指揮命令をする側には、この「業として」がかかりません。送り出す側が事業として行っていれば、三社目の会社は1回目から対象です。

偽装請負とは、返ってくるものが違います

二重派遣と偽装請負で、返ってくるものが違います 二重派遣 偽装請負 何が返るか 1年以下の拘禁刑、または 100万円以下の罰金 労働契約申込みみなし制度 直接雇用を申し込んだものとみなされます 誰に返るか 派遣先と、三社目の会社の両方に 業務委託(請負)で頼んだ会社に そのあと 送り出す側が事業として行っていれば 三社目の会社は1回目から対象です 「受け入れただけ」という説明は通りません 「法律の適用を免れる目的で」 その形をとった場合に限られます この目的が無ければ、みなされません
どちらが軽いという話ではありません。返ってくるものの種類が違います。

二重派遣と偽装請負は、よく並べて語られます。どちらも、指揮命令をしているのがどの会社かという話だからです。

ただし、返ってくるものが違います。二重派遣で返ってくるのは、職業安定法の罰則です。偽装請負で返ってくるのは、頼んだ会社がその人に直接雇用を申し込んだものとみなされるという結果です。ただし「法律の適用を免れる目的で」その形をとった場合に限られます。

なぜ、このルールができたのか

人を集めて別の会社に送り、その会社の指揮命令で働かせることを労働者供給といいます。禁じた理由は2つあると、厚生労働省の手引きが書いています。働く人の意思を無視して働かせる強制労働と、本来その人に渡るはずの賃金を送り出す側が取ってしまう中間搾取です。

この禁止ができるまで
  1. 1947年(昭和22年)労働者供給事業を、原則禁止にした

    職業安定法44条。あわせて労働基準法6条も、間に入って利益を得ることを禁じています。

  2. 1985年(昭和60年)労働者派遣法ができ、例外が認められた

    認められたのは自分が雇っている人を送り出す場合だけでした。

二重派遣は、この例外に入りません。派遣先は、三社目の会社へ回した派遣スタッフを雇っていないからです。雇い主がはっきりしない形では、1947年に国が防ごうとした2つが起きやすくなります。

よくある勘違い

こう思われがちです
  • 間に会社が入ったら二重派遣だ
  • 3社以上が関わったら二重派遣だ
  • 受け入れただけの側は問われない
  • 1回だけなら大丈夫
  • 二重派遣と偽装請負は、ほぼ同じもの
実際はこうです
  • 取り次ぐだけの会社が間にいても、ふつうはあたりません
  • 会社の数ではなく、契約がどこからどこへ張られているかで決まります
  • 受け入れて指揮命令をした側も禁止されています
  • 受け入れる側には「業として」がかかりません。1回目から対象です
  • 返ってくるものが違います。罰則か、直接雇用の申込みか

派遣を受け入れる企業は、ここだけ覚えてください

派遣先の担当者へ

確かめるのは「いま指示を出しているのは、どの会社の人か」です。会社の数を数える必要はありません。

その会社名が、労働者派遣契約書の相手先と違っていたら、そこで止めてください。判断まで受け入れ部署でする必要はありません。2社の名前を並べて上長に渡せば十分です。

派遣で働く人にも、関係があります

派遣で働く方へ

確かめ方は同じです。給与明細に載っている会社名と、毎日指示を出してくる人の会社名。この2つが違っていて、間に労働者派遣の契約がないなら、形が崩れている可能性があります。

相談先は、まず自分を雇っている会社です。話しにくいときは、都道府県労働局の需給調整事業部(課)でも受け付けています。

まとめ

この記事で覚えてほしいこと
  • 二重派遣かどうかは会社の数では決まらない。給料を払っている会社と指揮命令をする会社の間に契約があるかで決まる
  • 受け入れて指揮命令をした側も禁止されている。1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
  • 偽装請負とは返ってくるものが違う。あちらは直接雇用を申し込んだものとみなされる
TODAY'S ACTION / 今日からできる、たった1つのこと

労働者派遣契約書を1枚開いて、契約の相手先の会社名を書き出す。

その会社が、その人に給料を払っている会社と同じかどうかを見ます。同じなら問題ありません。違っていたら、2社の名前を並べて上長に渡してください。契約書は総務か購買に控えがあります。

そもそも派遣と業務委託の線がどこにあるのかは、別の記事で説明しています。分けているのは「誰が雇うか」と「誰が指示を出すか」の2つだけです。

派遣と業務委託の違い

※ 2026年8月時点の制度にもとづいています。根拠:職業安定法4条8項・44条・64条10号、労働基準法6条、労働者派遣法2条1号・40条の6第1項5号。厚生労働省「労働者供給事業業務取扱要領」「労働契約申込みみなし制度について」、e-Gov法令検索で確認しています。拘禁刑は刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号、2025年6月1日施行)によります。

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