派遣契約に書かなければならないこと
派遣契約に書かなければならないこと書いていない仕事は、頼めません
書く項目は法律で決まっています。業務の内容と責任の程度/就業場所と組織単位/指揮命令者/期間と時間/苦情の窓口/責任者/中途解除のときの措置。
いちばん効くのは「書いていない仕事は頼めない」ことです。作業を足したいときは、その場で頼まずに契約を直します。
忘れられがちなのが中途解除のときの取り決め。ここが空欄だと、終わるときに揉めます。
書く項目は決まっています
「業務の内容」と「責任の程度」は別の欄です
2020年から、業務に伴う責任の程度を書くことが加わりました。同じ「経理事務」でも、伝票を入力するだけなのか、締めの確認まで任せるのかで違うからです。
ここは待遇にも直結します。責任の程度が変われば、比べる相手も、払うべき賃金の水準も変わります。「事務全般」とだけ書かれた契約書は、この欄が機能していません。
個人単位の3年を数える単位です。ここを大きく書きすぎると、あとで「別の課へ移す」という選択肢が使えなくなります。実際の業務のまとまりで書いてください。
書いていない仕事は、頼めません
契約書に「請求書の入力」と書いてある人に、その場で「ついでに来客対応もお願い」と言うことはできません。契約の外の仕事だからです。
- その場で追加する
- 「ついでにこれもお願い」と口頭で頼む
- だんだん広がる
- 最初は電話だけだったのが、来客も郵便も
- あとで気づく
- 契約書を見たら、どれも書いていなかった
- 派遣元に伝える
- 「この作業も入れたい」と担当者に言う
- 契約を変更する
- 業務内容の欄を書き直して、両社で合意する
- 本人にも明示される
- 就業条件が変わるので、本人にも書面で伝わります
実務では「頼んではいけないと言われても、現場は動いている」というご相談をよく受けます。止める必要はありません。契約を直せば頼めます。手間は、担当者に一言伝えるだけです。
中途解除の取り決めを、先に書いておく
忘れられがちなのがこの項目です。派遣先の都合で契約を途中で終わらせるとき、派遣スタッフの雇用を守るために何をするかを、あらかじめ書いておくことになっています。
- 派遣スタッフの新しい就業機会を確保すること
- それができないときに、休業手当などの費用を誰が負担するか
- 解除を申し入れるときの猶予期間
契約と雇用は別物です。派遣契約を切っても、その人の雇用は続いています。だから、切る側にも負担が発生します。ここを空欄にしたまま終わらせようとすると、必ず揉めます。
なぜ、こんなに細かく決まっているのか
派遣では、指示を出す会社と、雇っている会社が別です。日々の指示は派遣先から出ますが、その人の労働条件を守る責任は派遣元にあります。
この状態で契約が曖昧だと、「聞いていない仕事をさせられた」「誰に言えばいいか分からない」が簡単に起きます。契約書は、2つの会社の間で「ここまで」を決めておく唯一の紙です。
だから、業務の中身も、指揮命令者の名前も、苦情の窓口も、終わらせ方も、全部この紙に書くことになっています。
よくある勘違い
- 契約書は派遣会社が作るものなので、任せておけばいい
- 業務内容は「事務全般」でよい
- ちょっとした作業を足すくらいなら口頭でいい
- 契約を切れば、その人との関係も終わる
- 中身を決めるのは派遣先です。紙を作るのは派遣元でも、決めるのは発注側です
- 責任の程度まで書く欄があります。曖昧だと待遇の判断もできません
- 契約の外の仕事は頼めません。契約を直せば頼めます
- 雇用は続きます。中途解除には、切る側の負担が伴います
派遣を受け入れる企業は、ここだけ覚えてください
契約書で真っ先に見るのは「業務の内容」と「組織単位」の2つです。
業務の内容は、いま実際にお願いしている作業と一致していますか。組織単位は、実際に働いている課と同じですか。この2つがずれていると、頼める仕事も、3年の数え方もずれます。
派遣で働く人にも、関係があります
就業条件明示書には、契約書と同じ内容が書かれています。「聞いていない仕事を頼まれた」と思ったら、まずこの紙を見てください。
書いていない作業なら、断って問題ありません。言いにくいときは派遣元の担当者に伝えれば、派遣元から派遣先に伝わります。
まとめ
- 書く項目は法律で決まっている。業務の内容と責任の程度、組織単位、指揮命令者、苦情の窓口
- 書いていない仕事は頼めない。足したいときは契約を直す
- 中途解除のときの取り決めも最初に書く項目。空欄だと終わるときに揉める
いまの労働者派遣契約書を1枚開いて、「業務の内容」の欄を読む。
そこに書いてある作業と、実際にお願いしている作業を頭の中で突き合わせてください。ずれていたら、そのずれを担当者に伝えるのが次の一歩です。契約書は総務か購買に控えがあります。
契約が決まっても、人選のときにできないことがあります。事前面接が認められていない理由と、職場見学で見るべきところを説明しています。
なぜ「事前面接」はできないのか※ 2026年8月時点の制度にもとづいています。根拠:労働者派遣法26条1項(契約の記載事項)、同法施行規則21条・22条、労働者派遣法29条の2(中途解除に伴う措置)、40条の3(個人単位の期間制限)、30条の3・30条の4(待遇)。厚生労働省「派遣元事業主の皆さまへ」(LL271029 派需07)、「派遣先の皆さまへ」(同 派需08)、「派遣労働者の同一労働同一賃金の概要」(PL040929需01)、「労働者派遣事業関係業務取扱要領」で確認しています。
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