辞めた会社に、派遣では1年間戻れない

辞めた会社に、派遣では1年間戻れない数えるのは会社単位。部署が違っても同じです

読了の目安 4分2026年8月時点の制度にもとづきます

契約・法律離職後1年派遣先派遣元

ひとことで言うと

自社を辞めた人を、離職から1年以内に派遣として受け入れることはできません(労働者派遣法40条の9)。

数えるのは会社単位です。別の事業所でも、別の部署でも同じ会社なら対象になります。

例外は60歳以上の定年退職者だけです。自己都合で辞めた方や、契約期間の満了で辞めた方は対象になりません。

受け入れてしまうと、その人に直接雇用を申し込んだことにされます。気づいたら、派遣元に知らせる義務も派遣先にあります。

数えるのは「会社を辞めた日」からです

いつまで受け入れられないか A社を辞めた日 1年後 この間、A社は派遣として受け入れられません 受け入れられます 数えるのは会社(法人)単位。A社の別の事業所でも、別の部署でも、同じA社なら対象です 例外は、60歳以上の定年退職者だけ。この場合は1年以内でも受け入れられます
3年ルールの「事業所単位」とは数え方が違います。こちらは会社まるごとです。

抵触日の3年は「事業所ごと」でした。この1年は会社ごとです。同じ会社の中で場所を変えても、逃れられません。

受け入れられません
  • 先月まで自社の契約社員だった人を、派遣で受け入れる
  • 半年前に辞めた人を、別の支店に派遣で受け入れる
  • 3か月前に辞めた人を、別の部署に派遣で受け入れる
  • 子会社を辞めた人を…は対象外(法人が違えば別の会社)
受け入れられます
  • 辞めてから1年を過ぎた人
  • 60歳以上の定年退職者(1年以内でも可)
  • 自社ではなく、他社を辞めた人
  • 直接雇用として、自社で雇い直す(派遣ではないので対象外)
グループ会社は「別の会社」です

数えるのは法人単位です。親会社を辞めた人を子会社が派遣で受け入れることは、この規定にはあたりません。ただし、それが実質的に同じ職場へ戻す形なら、制度の趣旨からは外れます。使い方として適切かどうかは、別に考えてください。

なぜ、この決まりがあるのか

防ごうとしているのは、直接雇っていた人を、そのまま派遣に置き換えることです。

この規定が無いと、何が起きるか 同じ人に、同じ席で、同じ仕事をしてもらう。契約の形だけ変える いったん辞めてもらい、派遣会社に登録してもらって、派遣として戻ってきてもらう 会社から見ると 社会保険や退職金の負担が外れ、 人を減らすときの手続きも軽くなります 働く人から見ると 仕事は変わらないのに、雇用の安定と 積み上げてきた条件だけが失われます
仕事の中身が同じなら、契約の形を変える理由は「負担を外すため」だけになります。

この置き換えができてしまうと、正社員や契約社員として雇う意味が薄れます。派遣という仕組みが、雇用を軽くするための道具になってしまう。それを防ぐために、1年という時間の壁が置かれました。

定年退職者だけが例外なのは、置き換えのために辞めさせられたわけではないからです。定年で一度区切りがつき、そのうえで本人が働き続けたいと望む場合を、わざわざ止める理由がありません。

派遣先には、知らせる義務があります

派遣元は、その人が派遣先を離職して1年以内かどうかを、いつも知っているわけではありません。だから派遣先の側に、気づいたら知らせる義務が置かれています(40条の9第2項)。

気づいたときの順番
  1. 派遣先が気づく

    就業開始の連絡で名前を見て「この人、去年まで自社にいた」と分かる場面がほとんどです。

  2. 派遣先が派遣元に知らせる

    「この方は当社を離職して1年以内です」と伝えます。これは法律上の義務です。

  3. 派遣元が派遣を止める

    派遣元の側にも、1年以内の人をその会社へ派遣してはいけない義務があります(35条の5)。

実務ではいちばん多いのは、人事は覚えているのに、受け入れ部署が知らないという形です。部署が違えば、辞めた人の名前は残っていません。だから、就業開始の通知が来た時点で人事が名簿と突き合わせる運用にしておくと、事故が防げます。

受け入れてしまうと、何が起きるか

離職後1年以内の受け入れは、労働契約申込みみなし制度の対象ではありません。この点は、禁止業務や期間制限の違反とは扱いが違います。

ただし、労働者派遣法違反として指導・助言・勧告の対象になります(48条・49条の2)。勧告に従わない場合は、会社名が公表されることがあります。

「本人が希望しているから」は理由になりません

この規定は、本人の同意があっても外れません。辞めた方から「派遣でもいいので戻りたい」と言われることがありますが、1年を過ぎるまでは受け入れられません。1年後に受け入れるか、いま直接雇用で雇い直すかの、どちらかになります。

よくある勘違い

こう思われがちです
  • 別の部署なら受け入れてよい
  • 別の事業所なら数え直しになる
  • 本人が希望しているなら問題ない
  • 自己都合で辞めた人なら例外にあたる
  • 派遣元が確かめることなので、派遣先は関係ない
実際はこうです
  • 数えるのは会社単位です。部署は関係ありません
  • 事業所ごとではありません。同じ会社ならすべて対象です
  • 本人の同意があっても外れません
  • 例外は60歳以上の定年退職者だけです
  • 気づいたら派遣元に知らせる義務が、派遣先にあります

派遣を受け入れる企業は、ここだけ覚えてください

派遣先の担当者へ

就業開始の通知が来たら、名前を過去1年の退職者名簿と突き合わせてください。受け入れ部署は覚えていません。人事にしか分からない情報です。

もし1年以内の方だと分かったら、その時点で派遣元に伝えます。黙って受け入れるほうが、あとで重くなります。

派遣で働く人にも、関係があります

派遣で働く方へ

前に勤めていた会社に派遣として戻る話が出たときは、辞めた日から1年が経っているかを先に確かめてください。

1年以内なら、その会社では働けません。ただし60歳以上の定年退職なら例外です。分からなければ、派遣元の担当者に離職した日を伝えて判断してもらってください。

まとめ

この記事で覚えてほしいこと
  • 自社を辞めた人は、離職から1年以内は派遣で受け入れられない
  • 数えるのは会社単位。別の事業所でも別の部署でも同じ
  • 例外は60歳以上の定年退職者だけ。本人が希望しても外れない
TODAY'S ACTION / 今日からできる、たった1つのこと

過去1年の退職者名簿を1枚出して、いま来ている派遣スタッフの氏名と見比べる。

重なりがなければ、それで終わりです。この突き合わせは、受け入れの通知が来たときにやると事故が防げます。受け入れ部署は辞めた人の名前を知らないので、人事が持っている情報でしか気づけません。

期間の話でいうと、もうひとつ「3年」があります。数え方も、延ばし方も違います。

抵触日とは何か、いつ来るのか

※ 2026年8月時点の制度にもとづいています。根拠:労働者派遣法40条の9(離職した労働者についての労働者派遣の役務の提供の受入れの禁止)・35条の5(派遣元の禁止)・48条(指導及び助言)・49条の2(勧告及び公表)。厚生労働省「派遣先の皆さまへ」(LL271029 派需08)、「派遣元事業主の皆さまへ」(同 派需07)、「労働者派遣事業関係業務取扱要領」、e-Gov法令検索で確認しています。グループ会社の扱いなど個別の判断は、都道府県労働局需給調整事業部(課)にご確認ください。

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