「任せられる仕事」と「任せられない仕事」

「任せられる仕事」と「任せられない仕事」分かれ目は難しさではなく、言葉にできるかどうかです

読了の目安 5分2026年8月時点の制度にもとづきます

企業の派遣活用派遣先派遣法

ひとことで言うと

任せられるのは手順が決まっている作業。任せられないのは会社として責任を負う判断です。

その間にある判断が要る作業は、手を動かす部分と決める部分に割れば任せられます。ここがいちばん大きい山です。

分かれ目は仕事の難しさではなく「指示が言葉にできるか」。目安は、初めての人に3分で説明できるかどうかです。

3つに仕分けます

その作業は、どれにあたりますか 任せられる 手順が決まっている やり方が文章にできる。 迷ったときの答えも決まっている 例:請求書の入力、   電話の一次受け、   書類のファイリング、   データの照合 分ければ任せられる 判断が要る 例外が出たときに、 誰かが決めないと進まない → 判断の部分だけ社員が持ち、   手を動かす部分を切り出す 「迷ったら◯◯さんへ」を決める 任せられない 責任が伴う 対外的に会社を代表する、 最終的に決裁する、 人事や機密を扱う 例:与信の判断、   評価・採用の決定、   契約書の最終承認
真ん中が、いちばん大きい山です。ここを分けられるかどうかで、切り出せる量が変わります。

判定は「3分で説明できるか」です

仕分けに迷ったときの目安があります。その作業を、初めての人に3分で説明できるか。

説明が3分で終わらない作業は、たいてい途中に「その場合はこう」という分岐がいくつも入っています。分岐が言葉になっていないだけのこともあれば、本当に判断が要ることもあります。

説明できないのは、切り出せていないだけかもしれません

長くやっている人ほど、手順が体に入っていて言葉になっていません。「言葉にできない=任せられない」ではなく、「まだ言葉にしていない」だけのことが多いです。1回書き出すと、半分は手順に落ちます。

切り出しの手順

この順でやると、契約書まで書けます
  1. 1日の作業を、時間つきで書き出す

    「9〜10時 メール確認」「10〜12時 請求書入力」。まず全部出します。

  2. 3分で説明できるかで印をつける

    できる=○、できない=△。△の中身をもう一段ほぐします。

  3. △を「手を動かす部分」と「決める部分」に割る

    入力は手、承認は決める。ここで切り出せる量が一気に増えます。

  4. 「迷ったら誰に聞くか」を1人決める

    これが契約書の指揮命令者になります。決まっていないと、初日から止まります。

  5. ○を並べて、契約書の業務内容にする

    「請求書の入力(月200件程度)」のように、作業名と量をセットで書きます。

契約書に書く粒度

粗すぎる書き方
  • 事務全般
  • 営業サポート
  • 庶務
  • その他付随する業務
ちょうどよい書き方
  • 請求書の作成・入力(月200件程度)
  • 電話の一次受けと取次ぎ
  • 受発注データの入力と照合
  • 資料の印刷・製本・発送

粗く書くと、そのときは楽です。でもあとで「これは契約の中か外か」が判断できなくなります。そして、責任の程度も待遇も、この欄をもとに決まります。

なぜ、契約書に書いた業務しか頼めないのか

派遣スタッフを雇っているのは派遣元です。派遣元は、契約書に書かれた業務を前提に、その人と労働条件を決めています。

あとから業務が増えると、その前提が崩れます。責任の重い作業が加われば、本来は待遇も変わるはずです。契約の外の仕事をその場で足すのは、決めた条件を一方的に変えることになります。

だから、増やしたいときは契約を直します。手間は担当者に一言伝えるだけで、頼めるようになります。

よくある勘違い

こう思われがちです
  • 難しい仕事は任せられない
  • 簡単な作業なら何でも頼める
  • 「その他付随する業務」と書いておけば安心
  • 判断が要る仕事は、まるごと切り出せない
実際はこうです
  • 難しくても手順が決まっていれば任せられます
  • 簡単でも、そのつど判断が要る作業は切り出せません
  • あとで契約の中か外か判断できなくなります
  • 手を動かす部分と決める部分に割れば、切り出せます

派遣を受け入れる企業は、ここだけ覚えてください

派遣先の担当者へ

切り出す作業を選ぶときの基準は「3分で説明できるか」だけで足ります。

そして、「迷ったら誰に聞くか」を1人決めてください。これが決まっていない職場は、来た人が初日に手を止めます。作業を切り出すより、こちらのほうが効きます。

派遣で働く人にも、関係があります

派遣で働く方へ

就業条件明示書に書かれていない作業を頼まれたら、断って問題ありません。できる・できないの話ではなく、契約の中か外かの話です。

言いにくいときは、派遣元の担当者に「こういう作業を頼まれています」と伝えてください。契約を直すか、断るかを派遣元が整理します。

まとめ

この記事で覚えてほしいこと
  • 分かれ目は難しさではなく「指示が言葉にできるか」
  • 判断が要る作業も、手を動かす部分と決める部分に割れば切り出せる
  • 契約書には作業名と量を書く。「事務全般」では、あとで中か外か判断できない
TODAY'S ACTION / 今日からできる、たった1つのこと

いま自分がやっている作業を1つ選んで、初めての人に説明するつもりで手順を書き出す。

3分で書き終われば、それは切り出せる作業です。途中で「その場合は」が3回以上出てきたら、そこが判断の部分です。その部分だけ自分が持てば、残りは任せられます。

切り出す作業が決まったら、初日までの準備です。立ち上がりが速い職場がしていることを説明しています。

受け入れ初日で差がつく

※ 2026年8月時点の制度にもとづいています。根拠:労働者派遣法26条1項(契約の記載事項。業務の内容および業務に伴う責任の程度)、34条(就業条件の明示)、同法施行規則21条。厚生労働省「派遣元事業主の皆さまへ」(LL271029 派需07)、「派遣先の皆さまへ」(同 派需08)、「労働者派遣事業関係業務取扱要領」で確認しています。3分という目安は制度上の基準ではなく、私たちが現場で使っている判定のしかたです。

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