派遣会社は、あなたに何を説明する義務があるか
派遣会社は、あなたに何を説明する義務があるか場面は3つ。求めても不利になりません
派遣会社には、説明する義務があります。場面は3つ。雇入れ時/派遣されるたび/本人が求めたとき。
雇入れ時に説明するのは、昇給・退職手当・賞与の有無、協定の対象かどうか、苦情の処理。派遣のたびに説明するのは、賃金の決め方、休暇、就業条件です。
そして「なぜこの待遇なのか」は、求めれば説明してもらえます。比べる相手との違いの内容と、その理由まで。
説明を求めたことを理由に、不利な扱いをすることは禁止されています(労働者派遣法31条の2第5項)。聞いて損をすることはありません。
3つの場面で、説明されます
雇入れ時:お金の「有無」が分かります
雇われるときに説明されるのは、金額ではなく「あるかないか」です。
- お金昇給・退職手当・賞与があるかどうか
金額ではなく、制度としてあるかどうかです。「ある」なら、どういう場合に出るのかも聞けます。
- 方式労使協定の対象になるかどうか
労使協定方式か、派遣先均等・均衡方式か。時給の決まり方が変わります。
- 相談苦情の処理に関すること
困ったときにどこへ言えばいいのか、誰が受けるのかです。
あわせて、労働条件は書面で明示されます(労働基準法15条)。契約期間、就業場所、業務内容、労働時間、賃金、退職に関すること。ここは口頭では済ませられません。
派遣時:行く先が決まるたびに説明されます
同じ派遣会社に雇われていても、派遣先が変わるたびに説明があります。賃金の決め方も、休暇も、行き先によって変わるからです。
この紙に書いてある業務が、実際にお願いされる作業の全部です。書いていない作業を頼まれたら、断って問題ありません。あとで「聞いていない」となったとき、いちばん確かな根拠になります。
もうひとつ、派遣料金の額も本人に明示されます(34条の2)。就業を始めるときと、料金が変わったときです。自分の時給が、派遣先の払う額のどのくらいにあたるかが分かります。
求めたとき:いちばん大事な説明です
3つめは、本人が聞かないと始まりません。「なぜ、この待遇なのか」を説明してもらえます。
- 時給が上がらない理由が分からないまま続く
- 同じ仕事の人との差が、何によるものか分からない
- 評価がどう反映されているのか見えない
- 「そういうものだ」と思って納得しないまま働く
- 比べる相手との違いの内容と、その理由が説明される
- 待遇を決めるときに考慮したことが分かる
- 労使協定方式なら、協定を見せてもらえる
- 次に何が上がれば待遇が変わるのかが見える
法律上説明を求めたことを理由に、解雇その他不利益な取扱いをしてはいけません(31条の2第5項)。これは条文にはっきり書かれています。
実務では「聞くと印象が悪くなるのでは」と心配される方がいます。説明するのは会社の義務です。聞かれることは想定されています。
聞き方
- 「うちはどちらの方式ですか」
労使協定方式か、派遣先均等・均衡方式か。ここで話の前提が決まります。
- 「労使協定はどこで見られますか」
労使協定方式なら、対象の範囲・賃金の決め方・評価のしかた・有効期間が書かれています。周知することになっているので、必ずどこかで見られます。
- 「自分の時給は、その中のどこにあたりますか」
職種と、能力や経験の段階で決まっています。次に何が上がれば変わるのかも、ここで分かります。
なぜ、説明が義務になっているのか
派遣は、自分の待遇がどう決まっているかが見えにくい働き方です。派遣先が払う額も、そこから何が引かれているかも、本人には分かりません。
見えないまま働き続けると、納得できないことが積み上がります。かといって、本人が調べる手段もありません。
そこで2020年4月から、説明の義務が大きく強められました。見えるようにすることが、待遇の改善につながるという考え方です。マージン率などをインターネットで公開する義務も、同じ流れで置かれています。
よくある勘違い
- 待遇の理由は、聞いても教えてもらえない
- 聞くと、次の仕事を紹介してもらえなくなる
- 説明は最初の1回だけ
- 労使協定は会社の内部資料なので、見られない
- 派遣先が払っている金額は分からない
- 求めがあれば説明する義務があります(31条の2第4項)
- 求めたことを理由にした不利な扱いは禁止されています
- 雇入れ時と、派遣されるたびに説明があります
- 雇っている労働者に周知することになっています
- 派遣料金の額は、本人に明示されます(34条の2)
派遣で働く人は、ここだけ覚えてください
3つの場面のうち、3つめだけは自分から動かないと始まりません。納得できないことがあれば、聞いてかまいません。
最初の一言は「うちはどちらの方式ですか」で足ります。そこから話がつながります。
派遣を受け入れる企業にも、関係があります
派遣元が説明できるのは、派遣先から待遇情報が提供されているからです。契約の前に情報を出さないと、派遣元は契約を結べません。
そして、派遣料金の交渉では、待遇改善が行われるよう配慮する義務があります(26条11項)。契約のときだけでなく、更新のあとも続きます。
まとめ
- 説明の場面は3つ。雇入れ時・派遣のたび・求めたとき
- 「なぜこの待遇なのか」は求めれば説明される。理由と、考慮した事項まで
- 求めたことを理由にした不利な扱いは禁止されている。聞いて損はしない
派遣元の担当者に「うちはどちらの方式ですか」と1問だけ聞く。
労使協定方式なら、次に「労使協定はどこで見られますか」と聞いてください。周知することになっているので、必ずどこかで見られます。自分の時給が何をもとに決まっているかは、そこに書いてあります。
時給の下限がどう作られているかは、別の記事で説明しています。国が示す数字から順に見ています。
派遣の時給は何をもとに決まるのか※ 2026年8月時点の制度にもとづいています。根拠:労働者派遣法31条の2(待遇に関する事項等の説明。2項=雇入れ時、3項=派遣時、4項=求めがあったとき、5項=不利益取扱いの禁止)・34条(就業条件の明示)・34条の2(派遣料金額の明示)・23条5項(情報提供)・26条11項(派遣料金の配慮)、労働基準法15条(労働条件の明示)。厚生労働省「派遣労働者の同一労働同一賃金の概要」(PL040929需01)、「派遣元事業主の皆さまへ」(LL271029 派需07)、e-Gov法令検索で確認しています。
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