なぜ「事前面接」はできないのか
なぜ「事前面接」はできないのか禁止されているのは面接ではなく、派遣先が人を選ぶことです
禁止されているのは「派遣先が人を選ぶこと」です。面接という行為ではありません。
だから、履歴書を送らせることも、「この人がいい」と指名することもできません。名前が付いていなくても、選んでいれば同じです。
誰を雇うかを決めるのは雇用主だからです。派遣では、雇用主は派遣元。ただし紹介予定派遣だけは、面接も履歴書もできます。
できること、できないこと
- 就業前に派遣先が面接する
- 履歴書・職務経歴書を送らせる
- 「この人にしてください」と指名する
- 年齢・性別で絞る
- 「まず何人か会わせてほしい」
- 適性検査を受けさせる
- 本人が希望した場合の職場見学
- 業務の内容・使う道具・座る場所の説明
- 本人からの質問に答える
- 必要な技能・経験を契約書に書いて伝える
- 紹介予定派遣なら、面接も履歴書も可
「会う」こと自体が禁止なのではありません。会ったうえで派遣先が選ぶ、という形が禁止です。だから職場見学は成り立ちます。
なぜ、選べないのか
右の形を認めると、派遣先は選ぶところだけ取って、あとの責任は全部よその会社という状態になります。合わなければ「別の人に替えてください」で済んでしまう。
だから、選ぶ権利は雇用主である派遣元に置かれています。派遣先が言えるのは「どんな仕事を、どんな条件で」までで、「誰を」は言えません。
それでも合う人に来てほしいときは
選べないからといって、誰が来るか運任せ、ということではありません。伝え方を変えれば、合う人が来る確率は上がります。
- 作業を具体的に書く
「事務全般」ではなく「請求書の入力、月200件」。契約書の業務内容がそのまま人選の条件になります。
- 必要な技能・経験を条件として出す
「Excelの関数を使った集計ができる」など。人ではなく能力で書けば、条件として伝えられます。
- 職場の実際を隠さず伝える
忙しい時期、電話の量、座席の環境。見学で本人が判断できるほど、あとで辞めにくくなります。
実務では「会わないと不安」と言われることがあります。不安の中身をよく聞くと、ほとんどが「うちの仕事ができる人かどうか」です。それは条件として書けます。会わなくても伝わります。
紹介予定派遣だけ、例外です
紹介予定派遣は、最長6か月の派遣を経て、派遣先が直接雇うことを前提にした仕組みです。
ゴールが「派遣先が雇うこと」なので、選ぶ人と雇う人が一致します。さきほどの図でいえば左側の形です。だから面接も履歴書もできます。
面接をしたいから紹介予定派遣にする、けれど直接雇用の枠は本当は無い——という使い方は、前提が崩れています。採用したい枠が実際にあるかを先に固めてから使ってください。
よくある勘違い
- 会うこと自体が禁止されている
- 顔合わせなら問題ない
- 「合わなければ替えてもらう」で対応できる
- どんな人が来るか、まったく指定できない
- 本人の希望による職場見学はできます
- 名前が違っても、派遣先が選んでいれば同じです
- 雇用主は派遣元です。人を替える前提での受け入れは想定されていません
- 能力・経験は条件として書けます。「誰を」が言えないだけです
派遣を受け入れる企業は、ここだけ覚えてください
言えるのは「何を、どのくらい、どんな環境で」まで。言えないのが「誰を」です。
不安があるなら、面接ではなく契約書の業務内容を細かく書くことで解決します。そのほうが、来てからのすれ違いも減ります。
派遣で働く人にも、関係があります
職場見学はあなたが見に行く場です。聞きたいことを聞いてかまいませんし、見て「合わない」と思えば断れます。
もし履歴書の提出や適性検査を求められたら、その場で答えず派遣元の担当者に伝えてください。本来は求められないものです。
まとめ
- 禁止されているのは面接ではなく「派遣先が人を選ぶこと」
- 理由は、誰を雇うかを決めるのは雇用主だから。派遣では派遣元
- 能力・経験は条件として書ける。「誰を」が言えないだけ
「会って確かめたいこと」を3つ書き出して、それが条件として書けるかを見る。
「Excelが使える」「電話に抵抗がない」なら、そのまま契約書の条件に書けます。書けないものが残ったら、それは何を見たいのかをもう一度言葉にしてください。たいていは条件に変換できます。
受け入れが決まったら、次は義務の分担です。派遣先が守ること、派遣元が守ることを1枚で整理しています。
派遣先が守ること、派遣元が守ること※ 2026年8月時点の制度にもとづいています。根拠:労働者派遣法26条6項(派遣先が特定することを目的とする行為の禁止)、同2条4号・26条6項ただし書(紹介予定派遣の例外)、40条の5。厚生労働省「派遣先が講ずべき措置に関する指針」、「派遣先の皆さまへ」(LL271029 派需08)、「派遣元事業主の皆さまへ」(同 派需07)、「労働者派遣事業関係業務取扱要領」で確認しています。
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