未経験から派遣で働けるのか
未経験から派遣で働けるのか見られているのは経験ではなく、3つの土台です
働けます。ただし「未経験可」の求人が見ているのは、経験の有無ではありません。
見られているのは3つ。決まった時間に来られること/指示を最後まで聞けること/分からないときに聞けること。この3つがあれば、多くの事務の仕事は始められます。
派遣は契約書に書いてある作業しか頼まれません。だから、覚える範囲が最初からはっきりしています。ここが未経験の人に向いている理由です。
「未経験可」と書いてあっても、契約書の業務内容に専門的な作業が並んでいれば、実際には経験が要ります。言葉ではなく、作業名を見てください。
本当に見られている3つ
職場が困るのは「知らないこと」ではありません。知らないまま進められることです。だから3つめが効きます。
派遣が未経験に向いている理由
派遣先は、労働者派遣契約に書いていない仕事を頼めません。これは働く人を守るための決まりですが、始めるときにも効きます。
- 頼まれる範囲
- 会社の都合で広がることがある
- 覚えること
- 入ってから増えていく
- 相談先
- 職場の上長
- 合わなかったとき
- 自分から辞める話になる
- 頼まれる範囲
- 契約書に書いてある作業だけ
- 覚えること
- 最初から範囲が決まっている
- 相談先
- 職場と、派遣元の担当者の両方
- 合わなかったとき
- 契約の期間で区切れる
覚える範囲が決まっていることは、未経験のときにいちばん効きます。「どこまでできれば一人前か」が最初から見えているからです。
派遣元には、派遣スタッフに教育訓練の機会をつくる義務があります(30条の2)。入社時の研修やパソコンの講座を用意している会社が多く、その実施状況は厚生労働省「人材サービス総合サイト」で公開されています。登録する前に見られます。
「未経験可」を、求人票のどこで確かめるか
言葉ではなく、作業名で見ます。
- 「月次決算の補助」「仕訳の起票」
- 「英文メールの対応」「海外拠点との調整」
- 「Excelでのマクロ作成」「関数を使った集計表の設計」
- 「顧客からの一次対応(クレーム含む)」
- 作業名が書かれておらず「営業事務全般」だけ
- 「請求書の入力(月200件程度)」
- 「電話の一次受けと取次ぎ」
- 「受発注データの入力と照合」
- 「書類のファイリング、印刷、発送」
- 作業名と量がセットで書かれている
右側に共通しているのは、手順が決まっていることです。手順が決まっている作業は、教えれば覚えられます。左側は、そのつど判断が要ります。
実務では求人票に「未経験可」と書きながら、契約書の業務内容には専門的な作業が並んでいることがあります。応募する前に、担当者に「実際にお願いする作業を、順番に教えてください」と聞いてください。答えられない求人は、まだ切り出しが終わっていません。
始めてから3か月で、何が変わるか
- 最初の1週間:手順を写す
教わったとおりにやる時期です。自分なりのやり方を足さないほうが、早く覚えられます。
- 1か月:例外が出てくる
「この場合はどうするのか」が出始めます。ここで聞けるかどうかで、そのあとが変わります。
- 3か月:手が止まらなくなる
例外のパターンが一巡します。ここまで来ると、次の作業を任せてもらえるようになります。
3か月というのは、多くの派遣契約の1回目の区切りと同じ長さです。最初の更新のころに、ちょうど手が止まらなくなります。
なぜ、未経験を受け入れる職場があるのか
企業が派遣を使うのは、人が足りないからです。そして足りないのは、経験者だけではありません。
手順が決まっている作業は、経験者がやっても未経験者がやっても、慣れれば速さは変わりません。むしろ、前の職場のやり方が入っていない人のほうが、その職場の手順をそのまま覚えられることがあります。
企業が心配しているのは、経験の有無ではなく「来てくれるか」「聞いてくれるか」です。だから、その2つを面談で伝えられれば、未経験でも決まります。
よくある勘違い
- 未経験可と書いてあっても、実際は経験者が採られる
- 資格が無いと事務の仕事はできない
- ブランクが長いと応募できない
- 未経験だと時給がとても低い
- 研修は自分で受けるしかない
- 手順が決まっている作業なら、未経験から決まります
- 多くの事務職で資格は要件になっていません
- ブランクより、これから安定して来られるかを見ています
- 時給の下限は法律で決まっています。極端には下がりません
- 教育訓練の機会をつくるのは派遣元の義務です
派遣で働く人は、ここだけ覚えてください
面談で伝えるのは、経験の量ではありません。「決まった時間に来られること」と「分からないときに聞けること」の2つです。
そして応募する前に、実際にお願いされる作業を順番に聞いてください。作業名で答えが返ってくる求人なら、未経験でも始められます。
派遣を受け入れる企業にも、関係があります
「経験者に限る」と書くと、応募が集まりにくくなります。ところが実際にお願いする作業を書き出してみると、手順が決まっている作業がほとんどということがあります。
経験を条件にする前に、作業を書き出してください。書き出せた作業は、未経験の方にも任せられます。
まとめ
- 見られているのは経験ではなく勤怠・指示の受け取り方・聞けるかの3つ
- 派遣は契約書に書いてある作業しか頼まれない。覚える範囲が最初から決まっている
- 「未経験可」は言葉ではなく作業名で確かめる。手順が決まっている作業なら始められる
気になっている求人票を1枚開いて、業務内容の欄に「作業名」がいくつ書いてあるかを数える。
「請求書の入力」「電話の取次ぎ」のように作業名が並んでいれば、未経験から始められる仕事です。「営業事務全般」だけなら、担当者に「実際の作業を順番に教えてください」と聞いてください。それが最初の質問になります。
職種によって、覚えることも働き方も変わります。事務・販売・コールセンターの違いをまとめました。
事務・販売・コールセンターの違い※ 2026年8月時点の制度にもとづいています。制度の根拠:労働者派遣法26条1項(契約に書く業務の内容)・30条の2(教育訓練)・23条5項(情報提供義務)、30条の4(労使協定方式による賃金の下限)。教育訓練の実施状況は厚生労働省「人材サービス総合サイト」で公開されています。3か月で手が止まらなくなるという目安は制度上の基準ではなく、私たちが現場で見てきた実感です。
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